外壁やバルコニーから始まる気づかない雨漏りの恐怖 2025.06.24 目次1 はじめに2 雨漏り=天井から水が落ちる?それだけではありません2.1 見えない雨漏りが引き起こす問題3 雨水が家に侵入する経路は、実は驚くほど多岐にわたる3.1 屋根の劣化3.2 外壁の劣化3.3 シーリングの劣化3.4 バルコニーやベランダ3.5 開口部(窓・換気口・配管まわり)4 雨漏りを防ぐ!セルフチェックリスト4.1 外まわりのチェック4.2 室内のチェック5 雨漏り対策は“塗装だけ”では不十分なことも6 実際にあった施工事例6.1 ケース1 バルコニー笠木からの雨漏り 6.2 ケース2 屋根の雨漏りで軒天に影響7 まとめ はじめに 今年も台風シーズンが近づいてきました。毎年この時期になると、「雨漏りしてきた!」という緊急のご相談が急増します。しかし、実はその多くが「かなり前から水が入り込んでいた」ケースなのです。天井から水がポタポタ落ちてくるなど、目に見えてはじめて気づく方がほとんどですが、それ以前に外壁やバルコニーなどの“目に見えない部分”から、じわじわと雨水が建物内部に入り込んでいたことは少なくありません。この記事では、そんな“気づかない雨漏り”がどこから侵入し、家にどのようなダメージを与えるのか。そして、どんな症状があれば注意すべきかを詳しくご紹介します。大切なお住まいを守るために、今こそ知っておきたい情報です。 雨漏り=天井から水が落ちる?それだけではありません 多くの人が「雨漏り」と聞いて思い浮かべるのは、天井から水がポタポタと垂れてくる光景でしょう。確かに、こうした症状が出ていれば明らかな雨漏りです。しかし実際には、家の内部でじわじわと水が入り込んでいる“見えない雨漏り”が多く存在しています。雨水が屋根や外壁から入り、壁の中にとどまったまま、時間をかけて木材や断熱材を腐らせたり、カビを発生させたりすることがあります。そして、こうした雨漏りは、目に見える症状が出てきた時にはすでに“かなり進行している”という怖さがあるのです。 見えない雨漏りが引き起こす問題 木材の腐食により耐震性が低下 雨水が壁の中に染み込むと、構造を支える柱や梁といった木材部分が徐々に腐食していきます。これが進行すると、地震などの揺れに対して建物が本来の耐久性を発揮できなくなり、倒壊リスクが高まる原因になります。 カビの発生による健康被害(アレルギー・喘息) 湿気の多い環境はカビが発生しやすく、壁の中に水が回っていると室内にカビが広がることもあります。カビの胞子はアレルギー症状や喘息、シックハウス症候群などの健康被害を引き起こす恐れがあります。 湿った木材によりシロアリを呼び寄せる シロアリは湿った木材を好んで食害するため、雨水で湿った壁の中は格好の住みかになります。一度シロアリが侵入すると、目に見えないところで一気に被害が広がり、大規模な修繕が必要になることもあります。 電気系統への影響による漏電・火災リスク 壁の内部には電気配線も通っているため、そこに水が侵入すると漏電やショートが起きる可能性があります。最悪の場合、火災につながるおそれもあり、非常に危険です。 これらは、ほんの小さなひび割れや劣化から始まる場合もあるため、軽視できません。 雨水が家に侵入する経路は、実は驚くほど多岐にわたる 屋根の劣化 瓦のズレや割れスレート屋根のひびや反り返り棟板金(むねばんきん)の浮きや釘抜け これらの屋根の劣化は、上からの雨水侵入を許す最大の原因となります。特に台風や強風の後には、普段見えない場所でズレや釘抜けが起きていることもあります。 外壁の劣化 ヘアクラック(髪の毛のような細いひび割れ)チョーキング(触ると白い粉がつく)外壁材の浮き・反り 外壁のひび割れや粉吹き(チョーキング)は、塗膜の劣化によって防水性が失われているサインです。そこからじわじわと水が染み込むリスクがあります。 シーリングの劣化 窓サッシや外壁の継ぎ目に打たれたシーリング材が、経年で硬化・収縮してひび割れたり、剥がれたりして隙間ができる シーリングは「建物の継ぎ目を守る防水材」です。ここが劣化すると、見た目以上に深刻な雨水の侵入経路となってしまいます。 バルコニーやベランダ 防水層(トップコートやウレタン防水など)の劣化排水口(ドレン)の詰まりや勾配不良立ち上がり部分(壁との境界)の防水不良 開口部(窓・換気口・配管まわり) シーリング切れ、周囲の隙間、施工不良など 開口部まわりは、もともと外壁に穴を開けて設置されているため、他の部位よりも水が入りやすい構造です。特にシーリング切れや施工ミスは見逃せない雨漏りの原因になります。 このように、雨水の侵入口は家のいたるところにあります。1カ所でも問題があれば、そこから水が侵入して家全体に影響を及ぼす可能性があります。 雨漏りを防ぐ!セルフチェックリスト ご自身でできる簡単なチェック項目をまとめました。月に1回、お家の周囲をぐるりと回って確認してみてください。 外まわりのチェック 外壁に細かいひび割れがある壁を触ると白い粉が手につく(チョーキング)シーリング材が剥がれている、隙間ができているバルコニーの床がふわふわする、水が溜まりやすい排水口に枯葉やゴミが溜まっている 室内のチェック 壁紙が浮いている、剥がれている天井や壁にシミ、カビ、変色がある雨が降った後に、カビ臭さを感じる 一つでも当てはまる項目がある場合は、雨水が侵入している可能性があります。早めの専門業者への点検依頼をおすすめします。 雨漏り対策は“塗装だけ”では不十分なことも 外壁塗装には「防水性を保つ」という重要な役割がありますが、それだけで雨漏りを完全に防げるわけではありません。例えば、以下のようなケースでは塗装に加えて、別の工事が必要になります。 シーリングの打ち直し(増し打ちではなく“打ち替え”が必要)バルコニーの防水工事(ウレタン防水・FRP防水など)屋根板金の交換・屋根のカバー工法 これらのメンテナンスをセットで行うことで、建物全体の「雨仕舞(あまじまい)」を整えることができます。雨仕舞とは、雨をいかに建物内部に入れず、外に排出するかを考えた建築技術のこと。家を長持ちさせるために非常に重要な視点です。 実際にあった施工事例 ケース1 バルコニー笠木からの雨漏り バルコニー笠木から雨漏りしていて、外壁の劣化が進行していました。笠木から雨漏りしている事例は意外と多くあり、症状としては、外壁がボロボロと剥がれたような状態になっています。原因は笠木の継ぎ目からの雨漏りです。笠木を全て外し、防水シートを中に入れ、再度組み立て直しました。ビスにもコーキングを打ち、雨が入らないよう施工しました。 雨漏り修繕後です。笠木は既存のものが壊れているわけではありませんでしたので、同じものを取り付けています。ボロボロなっていた外壁はサンダーでケレンをし塗装しました。バルコニーもウレタン防水工事をしています。 この施工事例を見る ケース2 屋根の雨漏りで軒天に影響 屋根からの雨漏りで軒天の板がボロボロの状態になっていました。状態を確認するために触ると板が腐っていて取れてしまいました。原因は、屋根の瓦の下に敷いてある防水シートが際まで敷き詰められておらず、防水紙シートが届いていない箇所に雨水が染み込み、内部を腐食させていました。シロアリが見つからなくてよかったです。 屋根の瓦を一部外し、新しく防水シート敷き直しました。腐っていた板は撤去し新しく施工し塗装しました。もっと気が付くのが遅くなると、軒天が崩れ落ちたり、シロアリが発生することもあるので危険でした。 この施工事例を見る まとめ 雨漏りは、早期に気づいて対処することで被害を最小限に抑えることができます。逆に、「まだ大丈夫」と放置してしまうと、見えないところでどんどん建物が傷み、修繕費用が高額になってしまうケースも。台風や大雨が多くなるこの時期だからこそ、お住まいのセルフチェックをしてみてください。そして、少しでも気になる点があれば、早めにプロの診断を受けましょう。当社では、外壁・屋根・バルコニーの無料点検を実施しております。見えない雨漏りを防ぐ第一歩として、ぜひご活用ください。 雨漏りはどうして起こる?原因は?雨漏りが起こりやすい理由 台風シーズン目前!雨漏り無料調査受け付けています 雨漏り修理と対策法:原因から予防まで丸わかり 雨漏り修理はどこに頼めばいいの?応急処置対策も! 塗装の基礎知識一覧へ