屋根塗装の基本 失敗しない塗料選び・メンテナンス 2025.11.25 目次1 屋根塗装の「基本」──まず理解しておくべき3つのポイント2 塗装が必要な屋根・不要な屋根2.1 塗装が必要な屋根材2.2 塗装が不要な屋根材3 陶器瓦でも必要なメンテナンスとは?3.1 谷板金の交換・補修3.2 漆喰の補修4 屋根塗装に使う主な塗料の種類と特徴4.1 シリコン塗料(耐久年数:約5~7年 屋根の場合)4.2 フッ素塗料(耐久年数:約12~13年 屋根の場合)4.3 デメリット4.4 無機塗料(耐久年数:約15年 屋根の場合)5 屋根の状態に合わせた下塗りの重要性5.1 下塗りの役割5.2 劣化状態別:下塗り回数の目安5.3 屋根の状態に合わせる「下塗り材」選び5.4 劣化が進行しすぎると塗装できないケースもある5.5 塗装できない代表的なケース6 塗装できない場合の選択肢「カバー工法・葺き替え」6.1 カバー工法(重ね葺き)6.2 葺き替え7 屋根塗装の一般的な工程8 まとめ 屋根は、住宅の中で最も過酷な環境にさらされている場所です。強い紫外線、雨風、台風、湿気、真夏の高温、冬の寒暖差など、外壁以上に劣化が進行しやすい部位と言えます。そのため、屋根のメンテナンスは「家を長持ちさせるうえで絶対に欠かせないもの」です。しかし、屋根材や劣化状態によって必要な工事が大きく変わるため、何を基準に判断すればよいのか分からない…という方も多いでしょう。この記事では、倉敷市で多くの屋根工事を行ってきた経験をもとに、屋根塗装の基礎知識から、屋根材ごとに必要なメンテナンス、塗料の選び方、劣化状況に応じた下塗りの考え方、塗装できないケースとカバー工法・葺き替えまで、徹底的に分かりやすくまとめました。屋根塗装を検討している方だけでなく、今の屋根がどんな状態で何が必要なのか知りたい方にも役立つ内容になっています。 屋根塗装の「基本」──まず理解しておくべき3つのポイント 屋根塗装の基本は、次の3点に集約されます。 屋根材によって塗装が必要なもの/不要なものがある塗装の可否は、劣化具合と下地の状態で判断する必要がある屋根の耐久性は「下塗り=土台部分」で大きく変わる これらを正しく理解することで、不要な費用を払ったり、逆に必要な工事を見落としたりするリスクを減らせます。では、まずは屋根材の種類と塗装の必要性から見ていきます。 塗装が必要な屋根・不要な屋根 屋根塗装の可否は「屋根の素材」によって大きく変わります。「どの家も10~15年で塗装」という認識は誤りで、素材ごとに適切なメンテナンス方法が異なります。 塗装が必要な屋根材 以下の屋根材は塗装で保護しなければ、劣化が急速に進みます。 スレート瓦(カラーベスト) 日本で最も普及している屋根材。表面の塗膜が紫外線で劣化しやすいため、10~15年で塗装が必要です。劣化すると、・色あせ・コケ・カビ・割れ・反り・素地の露出が進行し、放置すると塗装ができなくなるケースもあります。 セメント瓦(モニエル瓦含む) 表面がセメントのため、塗膜が劣化すると吸水しコケが増えます。・色あせ・コケ・カビ・割れ・素地の露出などの劣化症状が出ます。コケが生えることで割れやすくなります。※モニエル瓦は専用の下塗りが必要で、誤った塗料で塗装すると剥離します。 金属屋根(ガルバリウム鋼板・トタン) トタンはもちろん、耐久性に優れたガルバリウム鋼板も塗膜がなくなるとサビが発生します。塗装のタイミングは10~15年が目安。・色あせ・サビ・穴があくサビが進行すると穴があいてしまうので要注意です。 塗装が不要な屋根材 陶器瓦(いぶし瓦、釉薬瓦) 瓦そのものに耐候性があるため、基本的に塗装は不要です。※「瓦は塗装できますか?」という質問が多いですが、陶器瓦は塗装しても密着せず剥がれます。 アスファルトシングル アスファルトシングルは、基本的に塗装を必要としない屋根材です。表面が石粒でコーティングされており、その石粒自体が色を持っているため、塗装しても耐久性向上は期待できません。色あせや石粒の剥がれが気になる場合でも、無理に塗装するよりは、屋根全体をしっかり守れるカバー工法や葺き替えを検討する方が適切です。 陶器瓦でも必要なメンテナンスとは? 「陶器瓦はメンテナンス不要」と言われることがありますが、これは誤りで、以下の部分は定期点検とメンテナンスが必須です。 谷板金の交換・補修 瓦と瓦の間に設置される「谷板金」。雨水を流す重要な役割を持っていますが、ここが最も劣化しやすい部位です。特に古い家ではトタンの谷板金や銅板が使用されており、・サビ・穴あき・雨漏りが起きやすいため、交換が必要です。 漆喰の補修 瓦を固定する白い部分が「漆喰」です。時間が経つと、・ひび割れ・崩れ・剥離が起き、瓦が動いたり、雨水が入り込みやすくなります。漆喰のメンテナンスは10~20年に一度が目安です。漆喰ではなくビス固定の場合もビスが外れていないかメンテナンスが必要です。 屋根塗装に使う主な塗料の種類と特徴 屋根は外壁よりも受ける紫外線量が多いため、耐候性の高い塗料を選ぶ必要があります。ここでは、塗夢で使用しているシリコン・フッ素・無機の特徴をまとめます。 オススメ塗料 シリコン塗料(耐久年数:約5~7年 屋根の場合) メリット ・価格と性能のバランスが良い・一般住宅で最も採用される・汚れにも比較的強い デメリット ・フッ素、無機と比べると耐久性は低め・屋根の紫外線ダメージを考えると、少し物足りないことも こんな方におすすめ・費用を抑えながらも標準的な耐久性を求める方 フッ素塗料(耐久年数:約12~13年 屋根の場合) メリット ・シリコンよりも高耐久・紫外線に強く、屋根との相性が良い・美観が長持ちする デメリット ・価格がシリコンより高め・コストと性能のバランスは非常に良い こんな方におすすめ・足場代を考えて塗り替え頻度を減らしたい・長持ちする塗料を選びたい 無機塗料(耐久年数:約15年 屋根の場合) メリット ・現行塗料の中で最も高耐久・紫外線で分解されにくい・カビ・藻がつきにくく、色あせにも強い・将来的に塗り替え回数を減らせる デメリット ・価格は最も高い・品質に差があるためメーカー選びが重要 こんな方におすすめ・「一度の塗装でできるだけ長く持たせたい」・将来のメンテナンスコストを下げたい 倉敷市 外壁は長持ち20年の無機で塗装!色あせしにくい外壁に 屋根の状態に合わせた下塗りの重要性 屋根塗装の耐久性は、実は「下塗り」で大きく変わります。 下塗りの役割 ・屋根材へ塗料を密着させる・吸い込みを止め、上塗りを均一にする・弱った下地を固める(シーラー効果)屋根材が劣化しているほど、下塗りの吸い込みが発生するため、1回では不十分で2回必要になるケースも多いです。 劣化状態別:下塗り回数の目安 軽度劣化(色あせ・軽いコケ)→ 下塗り1回でOK密着性を高めるための標準仕様です。中度劣化(素地の露出・吸い込みが強い)→ 下塗り2回が必要吸い込みが止まらない場合は、1回では密着不良や早期剥がれの原因になります。重度劣化(反り、割れ、脆い状態)→ 下塗りでは補えないため、塗装不可になることがあります。 屋根の状態に合わせる「下塗り材」選び 屋根の素地が弱っている場合は、・浸透タイプのシーラー・強化シーラー・遮熱下塗りなど、屋根の状況に合わせて材料を使い分けます。下塗り選びは職人の「技術と経験」が特に重要なポイントです。 劣化が進行しすぎると塗装できないケースもある 屋根塗装は万能ではなく、劣化が進んだ屋根には施工不可のケースもあります。その場合は、屋根の葺き替えかカバー工法が必要になります。 塗装できない代表的なケース・スレート瓦が反り返り、割れが多い・経年で素材が脆くなり、踏むと割れる・野地板(下地)が腐っている・雨漏りが起きている・塗装しても密着しないほど劣化 これらの状態で無理に塗装しても、数年で剥がれたり雨漏りにつながるため、適切な判断が大切です。 塗装できない場合の選択肢「カバー工法・葺き替え」 カバー工法(重ね葺き) 既存の屋根の上に新しい金属屋根を重ねて施工する方法。 メリット・撤去費用がほぼ不要・雨漏りを止められる・断熱・遮音性が向上・工期が短い・費用は葺き替えより安い デメリット・屋根が少し重くなる・下地が腐っている場合は不可 屋根カバー工法は倉敷市の塗夢におまかせ! 葺き替え 既存の屋根材を撤去し、新しい屋根材に交換する方法です。 メリット・下地からすべて新品になる・最も安心できる工事・屋根が軽くなる場合もある(瓦→金属) デメリット・費用が高い・撤去廃材が多い 屋根塗装の一般的な工程 高圧洗浄下地補修(割れ補修・板金釘打ち直し)下塗り(1~2回)タスペーサー設置中塗り上塗り完了検査 特にスレート屋根では、縁切り・タスペーサーを行わないと雨水が溜まり、雨漏りのリスクが高まるため非常に重要です。 まとめ 屋根塗装で失敗しないためには…✔ 屋根材ごとに塗装の可否を理解する✔ 陶器瓦も「板金・漆喰」はメンテナンスが必要✔ 塗料は屋根に合わせて(シリコン・フッ素・無機)✔ 下塗りの回数と材料選びが最重要✔ 劣化が進みすぎると塗装できない✔ カバー工法・葺き替えの選択肢も知っておく屋根は見えない場所だからこそ、気づかないうちに劣化が進みやすい部位です。適切な時期に、適切な方法でメンテナンスを行うことで、住まいの寿命は大きく伸びます。 塗装の基礎知識一覧へ