下塗りが9割!塗装が長持ちする家と剥がれる家の違い 2025.10.09 目次1 はじめに2 なぜ「下塗り」が塗装の9割を左右するのか2.1 下塗りの3つの大きな役割3 下塗りを怠ると起こる“施工不良”のサイン3.1 塗膜の剥がれ・浮き3.2 ムラ・艶ムラ3.3 白化(チョーキング現象)4 下塗りよりも前に大切な「下地処理」5 長持ちする家と、すぐ剥がれる家の違い5.1 長持ちする家の特徴5.2 すぐ剥がれる家の特徴6 外壁の素材によって下塗りは変わる6.1 モルタル壁:微弾性フィラー6.2 サイディング壁:シーラー・プライマー6.3 金属サイディング:エポキシ系プライマー7 下塗りを丁寧に行う職人の見極めポイント7.1 丁寧な職人が意識しているポイント8 下塗りと下地処理を軽視すると起こるトラブル9 職人のこだわりが出る「見えない部分」10 まとめ:見えない工程こそ、塗装の寿命を決める はじめに 外壁塗装を長持ちさせるためには、「下塗り」がとても重要です。しかし、実は“下塗り”だけでなく、その前の“下地処理”も同じくらい大切な工程です。どんなに高級な塗料を使っても、下地処理や下塗りをおろそかにすると、数年で塗膜が剥がれたり、色あせたりしてしまいます。この記事では、外壁塗装の仕上がりを左右する「下塗り」と「下地処理」に焦点を当て、長持ちする家とすぐに剥がれてしまう家の違いを徹底解説します。 なぜ「下塗り」が塗装の9割を左右するのか 外壁塗装は一般的に「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3工程で仕上げられます。このうち「下塗り」は、外壁と塗料を密着させるための“接着剤”のような役割を持っています。たとえば、外壁材がサイディングやモルタル、ALCなど、それぞれ性質が違うように、下塗り材もそれに合わせて選ぶ必要があります。下塗りがきちんと行われていれば、上塗り材がしっかりと密着し、長期間にわたって塗膜を保護できます。逆に、下塗りが適切でないと、どんなに高品質な上塗り材を使っても早期に剥がれや膨れが発生してしまいます。 外壁塗装の全工程を徹底解説!こだわりの下地処理と使用道具 下塗りの3つの大きな役割 密着力を高める(のりの役目) 古い外壁と新しい塗料をしっかりくっつける“接着剤”のような役割です。下塗りがない、または薄すぎると、塗膜が数年で剥がれてしまうこともあります。 吸い込みを防ぐ(ムラを防止) 劣化した外壁は塗料をどんどん吸い込みます。そのまま上塗りをすると、ムラやツヤの違いが出てしまいます。下塗りで均一に吸い込みを抑えることで、仕上がりが格段に美しくなります。 下地の保護と補修 微細なひび割れや粉化した部分を固めて補修する効果も。特にモルタル壁やひびの多い外壁では、下塗りが“再生材”のような役割を果たします。 下塗りを怠ると起こる“施工不良”のサイン 外壁塗装の不具合の多くは、実は上塗りではなく“下塗り”に原因があります。では、下塗りが適切に施工されなかった場合、どんな現象が起こるのでしょうか? 塗膜の剥がれ・浮き 最も多いトラブルです。下塗りが密着していないと、数年後に“ペリッ”と塗膜がめくれてしまいます。雨水や湿気が入り込むと膨らみ、そこからどんどん劣化が広がります。 ムラ・艶ムラ 吸い込みが均一でないと、色がまだらになったり艶の差が出たりします。同じ塗料を塗っても、下塗りの状態で見た目が大きく変わってしまうのです。 白化(チョーキング現象) 表面が白く粉を吹いたようになる現象も、下塗りの密着不足や乾燥不良が原因のことがあります。本来10年以上持つはずの塗膜が、3年ほどで劣化してしまうケースも。 外壁劣化のサインは?劣化症状や原因について 下塗りよりも前に大切な「下地処理」 実は、「下塗り」よりも前の工程にある“下地処理”が、塗装の寿命を左右する重要なステップです。外壁の表面には、チョーキング(白い粉)、カビやコケ、古い塗膜の浮きなどがある場合があります。これらをきれいに除去しないまま下塗りをしても、下地にしっかりと密着せず、短期間で塗膜が剥がれてしまいます。下地処理には、次のような作業が含まれます。 高圧洗浄:外壁の汚れやチョーキング粉を洗い流すケレン作業:金属部のサビや旧塗膜の浮きを除去する補修作業:クラック(ひび割れ)や欠けを補修するコーキング(シーリング)補修:劣化したシーリングを打ち替える これらの下地処理がしっかり行われていれば、下塗り材が外壁にしっかりと密着し、結果的に塗装の耐久性が飛躍的に向上します。 長持ちする家と、すぐ剥がれる家の違い 長持ちする塗装と、すぐに剥がれてしまう塗装には、はっきりとした違いがあります。それは「見えない部分への丁寧さ」です。 長持ちする家の特徴 下地処理を丁寧に行っている外壁の状態に合った下塗り材を選定している乾燥時間(インターバル)をしっかり守っている塗布量(規定の厚み)を正確に守っている すぐ剥がれる家の特徴 汚れやカビの上から塗装している下塗りを省いたり、薄く塗っている下塗りと上塗りの乾燥時間を守らない外壁材に合わない塗料を使用している 見た目には同じように仕上がっていても、内部では大きな差が生まれています。塗装後2~3年で剥がれや膨れが起きるケースの多くは、この「下地処理」と「下塗り」が不十分なことが原因です。 外壁の素材によって下塗りは変わる 下塗り材には多くの種類がありますが、外壁の素材に合わせて選ばないと効果が発揮されません。ここでは代表的な外壁ごとの違いを見てみましょう。 モルタル壁:微弾性フィラー モルタルはひび割れやすい素材です。そのため、下塗りには“微弾性フィラー”という、少し弾力のある下地材を使用します。ひびを埋めながら下地を整え、上塗りの密着を高めます。 サイディング壁:シーラー・プライマー 近年の住宅で多いサイディング壁には、透明または白色の「シーラー」を使用。劣化が進んで粉が吹いている状態では、密着力を高める専用のプライマーを使います。サイディングの種類(窯業系・金属系)でも使う下塗り材が異なります。 金属サイディング:エポキシ系プライマー 鉄部や金属面は、錆を防ぐための防錆効果がある下塗り材が必須です。金属に直接塗装すると、すぐに剥がれや錆が発生してしまいます。下塗りの選び方を間違えると、たとえ上塗りに高耐久塗料を使っても無意味になってしまいます。そのため、“何を塗るか”より“何に塗るか”を見極めることが大切です。 下塗りを丁寧に行う職人の見極めポイント 塗装の現場では「1日でも早く終わらせたい」というプレッシャーがあります。しかし、本当に腕のいい職人ほど、“見えない下塗り”に時間をかけています。 丁寧な職人が意識しているポイント 吸い込みのチェック 外壁の劣化度合いによって塗料の吸い込み具合が異なります。 吸い込みが激しい場合、1回では不十分と判断し、2回下塗りすることもあります。乾燥時間をしっかり守る 下塗りが乾く前に上塗りをすると、密着不良を起こします。放置しすぎても効果がなくなってしまいます。 気温・湿度・日当たりなど、現場の環境を見ながら慎重に判断するのがプロの仕事です。塗布量を守る 規定の塗布量を守らないと、塗膜の厚みが足りず、耐久性が半減します。 見た目にはわからないため、誠実な業者であるかどうかがここで分かれます。 下塗りと下地処理を軽視すると起こるトラブル 下塗りや下地処理を省略すると、次のようなトラブルが発生します。数年で塗膜が剥がれる・膨れる雨水が浸入して壁内部が腐食する仕上げの色がムラになって見た目が悪くなる塗料本来の耐用年数を発揮できない見た目だけの“美観重視の塗装”では、数年後に後悔してしまうことも少なくありません。“長持ちする塗装”とは、見えない部分にどれだけ丁寧な手間をかけたかで決まります。 職人のこだわりが出る「見えない部分」 下塗りや下地処理は、完成後には見えなくなる部分です。だからこそ、信頼できる業者を選ぶことが何よりも大切です。たとえば、塗装中の様子を写真で記録し、工程ごとに説明してくれる会社は、下地処理や下塗りにも手を抜かない傾向があります。逆に、「見積もりが安い」「工期が極端に短い」といった場合は、下地処理や下塗りを簡略化していることもあります。 まとめ:見えない工程こそ、塗装の寿命を決める 外壁塗装の美しさや耐久性は、「下塗り」と「下地処理」で決まると言っても過言ではありません。上塗りがいくら高品質でも、下地が整っていなければ意味がありません。下地処理で外壁を清潔で健全な状態に整える下塗りで塗膜の密着を確保する適切な塗料選びと乾燥時間を守るこれらの積み重ねこそが、10年、15年と長持ちする外壁塗装につながります。見えない部分にどれだけ手をかけるか。そこに、塗装職人の本当の技術と誠意が表れるのです。 下地処理・下塗りは丁寧な塗夢におまかせ お問い合わせはこちら 塗装の基礎知識一覧へ